「読書」カテゴリーアーカイブ

読書 少女は卒業しない ★★

『桐島、部活やめるってよ』の朝井リョウの作品
高校卒業を当日、前日、その近辺の複数人を主人公にしたオムニバス形式で
それぞれの経験、心情などが綴られる。
これからの世界に対する思いと、大事な人との別れなど、
高校生の時に思ったような気持ちを思い出して、切なくなる。
そこそこおもしろい作品

銀漢の賦 ★★★

葉室 麟の「銀漢の賦」読んだ。

ginnkann

とても面白かった。
志の高い人間が自己を省みつつ、
己を貫いていくとこや、長年の友情が
描かれているとこに感動した。

蘇軾の漢詩から銀漢は取られているよう。
銀漢=天の川のこと

こういう詩らしい。
暮雲収蓋溢清寒
銀漢無聲轉玉盤
此生此夜不長好
明月明年何處看

暮雲収め尽くして清寒溢れ
銀漢 声無く 玉盤を転ず
此の生 此の夜 長くは好からず
明月 明年 何れの処にて看ん

この楽しい人生、この楽しい夜も、永遠に続くわけではない
というところに、寂しさと、一生懸命生きようという思いが
感じられる。

P94にも、武士は「覚悟と心映え」って言葉が出てくる。
別に武士じゃないけど、現代でも十分通用するし、いい言葉だと思う。

覚悟を持って果断に事に臨み、思いやりを持って行うって意味だと思う。
そうありたい。

俺も頑張ろう。

大澤真幸 <問い>の読書術 ★★★

上手に問いを立てると、読書の理解が深まるという内容。
読書指南としてだけではなく、様々な種類の本が紹介されているので、
その導入書としてもすぐれている。

一生に読める本なんてたかが知れてるから、読書は
量ではなくて問いだってことが書いてある。
一面真理だろうけど、数をたくさん読むことも
大事だと思う。

女子学生、渡辺京二に会いに行く ★★★

予備校の時の国語の先生なので
本が出るたびに気になってた。
大学生が色々な問題意識を持ち、
渡辺先生と対話するってところに興味を持ったので、
今回初めて購入した。

子育て、学校は権力装置か、自己実現、海外青年協力隊など
多様な問題意識に、渡辺先生独自の意見が述べられていく。
共感するかは別として、面白かった。

フーコーやイリイチも読もうとして読めてないので
仕事の合間に時間見つけて読みたい。

対話した人たちは生きにくさを感じて、
色々問題意識を持って生きてるんだろうなと思う。
自分にとっても生きにくい世の中なので、
なにか考えるよすがにはなるかな。

その女アレックス ★

このミスなど、数あるミステリーランキングで
6冠ということで、読んでみた。
いまいち面白さが分からない。

説明に途中で話が転換するって書いてあったから、
だいたい展開が読めるし
アレックスの取り巻きが繋がっていく展開の仕方も
特別な伏線もないのでどうかと思う。

吉田秋生の海街diaryでそんなの先にやってるし。

期待してただけに、残念感が大きい。

読書 獣の奏者Ⅰ・Ⅱ(闘蛇編、王獣編) お勧め

異世界を舞台にしたファンタジー小説
1~4まである、一気読みしたくらい面白かった、
面白さは小野不由美の「十二国記」シリーズに匹敵するやろなぁ。

経済がまだ農業に依存している時代、
それぞれの国は小競り合いを繰り返しながら、
穏やかに発展している、その中の一つに
大きな蛇(闘蛇)を軍事力として使用する国がある。
闘蛇は特殊な技法を用いないと操ることができず、
他に匹敵するものが居ないほど強力な兵器で、
主人公はその闘蛇の育成全般を行う組織の一つである
闘蛇衆の村に生まれた聡明なエリン。
タブーとされている民の母と闘蛇衆の父(死んでる)を持つ10歳の少女。

ある日、その闘蛇が飼育場で全滅してしまう。
その責をうけ母親が処刑されるが、そのときに巻き込まれた
エリンを助けるために誰も知らない指笛を使い
エリンを助ける。
闘蛇の背に乗せて逃がされるエリン。
意識を失いながら、命からがら逃げ延びる。
そこから物語は始まる。

何故闘蛇は死んだのかという謎、母親は何故、指笛で闘蛇を操る事を
隠していたのかなどを追求していく中で、
いろいろな人と出会いながら、成長を遂げていく。
そして闘蛇の秘密や、その唯一の天敵、タブーとされている母の秘密、
国の成り立ちの秘密まで知るようになっていく。
また一方で国の体制そのものが危うくなってきており、
その政治にも巻き込まれていく。

ここにはちょっとしか書けないけど。
ファンタジーとはいえ、国の体制とか政治とか
絡んでくるんで、けっこハードな内容になってますが、
抜群に面白い。

主人公のエリンは自分が正しいと思うことを
突き詰めて、生きたいよう生きざるを得ないような人で、
その為に努力を惜しまない。

最終的に人も国も巻き込むし体制すら揺るがしていくことになる、
最終巻4巻の終わりはああなるしかなかったのだろうけど、納得できる。

人の事や、枠を維持するために自分を殺して生きててもどうかと思うし、
自分のために枠そのものを壊してしまうのもどうかとも思う。
(それくらいで壊れる枠はもともと問題があったしいずれ壊れるとは思う)
なにより自分では気付かない安定?を失う事にもなりかねない。
そのバランスが難しい。
良い悪いの問題ではないから、
最終的に選択するのはエリンなんだけど。

獣の奏者 闘蛇編

獣の奏者 王獣編

読書「もしドラ」 お勧め

「もし僕がドラえもんだったら」ではない。

最近友達が読んでたので、
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を
読んでみた。
本棚では経営か新刊のとこに並んでて、見た目が柔らかくなってる(柔らかすぎ)。
twitterでも話題になってるけど凄く売れてるみたい。

ドラッカー「マネジメント」読もう読もうと思って積読になってる一冊。

高校野球のマネージャになった主人公のみなみちゃん(タッチのオマージュか)
が、甲子園出場を目指して、野球部をマネージメントしていく話を通じて、
「マネジメント」の説明をしていく内容になってる。
小説としては、青春ものっぽくお涙頂戴物となってて、
涙もろい人には要注意。

「マネジメント」には
組織の定義が大事みたいなことや、
企業の目的は顧客の創造でありそのために必要なのは、
「マーケティング」と「イノベーション」って書いてあるらしい。

何を目的とした組織で、どうあるべきかをちゃんと決めていく必要があるということや、
顧客の要求は何かを知り、埋もれている欲求を掘り起こして
満足を与えることみたいなことだろう。

全く足りてないなぁと日頃感じてた事がもろ書いてあって
納得のいく一冊だった。

一回では理解できんからもっかい読んで、
「マネジメント」に挑戦しよう。

もしどら

読書 鯨統一郎『タイムスリップ忠臣蔵』 笑える

この時期、友達が忠臣蔵マニアなせいか、俺もちょっと
忠臣蔵が気になる。・・・ならないか。

久しぶりに鯨統一郎の本を読んだ。ばかばかしかった。

時は2300年代、そこは、イヌが支配する世界となっている。
人間はイヌのペットになっており、食糧危機が訪れて、
食料にされそうになる。
しかし、レジスタンスとして、一部の人間は生きており、
イヌの支配を覆そうとしている。
いくら動物好きでもこれは許せないだろう。

レジスタンスは、どうしてイヌが支配する世になったのかも知っており、
その内容が語られていく。

直接的な原因は、忠臣蔵の討ち入りが失敗し、
生類憐みの令の賛同者だった吉良上野介が生きながらえ、
生類憐みの令が永劫に続くことになったためだった。
そこで、主人公たちはタイムマシンで
討ち入りのお手伝いに赴くという話。

AKB48が、一人抜ける前のAKOU BUSHI48
だったとは恐れ入った。

読書 始末屋ジャック「凶悪の交錯」 上・下

そろそろ出てないかなと思い、
本屋に行ったら、ほんとにあった。
待ちに待った、FPウィルスンの「始末屋ジャック」の最新刊。
まだ読んでないけど、時間見つけてぼちぼち読もう。

始末屋ジャック
始末屋ジャック

今までは帯にたいしたことかいてなかったけど、今回はクーンツとスティーブン・キングの言葉が載ってる。
どうしたんだ!

楽しみだ。

読書:石持浅海 ガーディアン 普通

主人公の無くなったお父さんが娘に取り付いて、いろんな悪意や不慮の事故から娘を守るって話。
ガーディアンはそのお父さんのこと。守った後に反撃も行なうが、娘が受けるであろう衝撃の大きさで、世に言う目には目を的な仕返しをして、善悪の判断がないので始末に困る。この作家らしく、ありえない状況を作り出して、そこから論理を緻密に積み上げていくところは面白いけど、もっと面白いものを書いて欲しい。
 そういえば、目には目をってやったらやり返せって感じで思いがちだけど、同じくらいの罰を与えてそれで許そうよって意味らしい。